― 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」より ―
厚生労働省が公表した「令和7(2025)年就労条件総合調査」によると、令和6年における労働者1人当たりの年次有給休暇取得率は66.9%となり、過去最高を更新しました。平均取得日数も12.1日と高水準で推移しており、近年は毎年のように最高値を更新しています。年次有給休暇の取得促進が着実に進んでいることがうかがえる結果となりました。
背景には、働き方改革関連法による「年5日の年次有給休暇の確実な取得義務」の定着や、企業側の意識変化があります。長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの重視が社会全体に広がる中で、「休むことは当たり前」という価値観が職場にも浸透しつつあるといえるでしょう。
一方で、中小企業においては依然として課題も残っています。業務が特定の担当者に集中している、代替要員の確保が難しいといった事情から、年休取得が進みにくいケースも少なくありません。しかし、年次有給休暇の取得促進は単なる福利厚生ではなく、従業員の健康確保、離職防止、生産性向上に直結する重要な経営課題です。
また、人材確保の面でも年休取得状況は重要なポイントとなっています。若年層や育児・介護世代を中心に、「きちんと休める会社かどうか」は企業選択の大きな判断材料です。近年では週休3日制や柔軟な休暇制度を導入する企業も増えており、同業他社と比べて著しく取得率が低い、あるいは取得促進の取組みが見えない企業は、採用競争において不利になる可能性があります。
では、年休取得を進めるためには、どのような取組みが有効なのでしょうか。
まず一つ目は、年次有給休暇の計画的付与制度の活用です。この制度は、付与された年休日数のうち5日を除いた残りについて、労使協定を締結することで、会社が計画的に取得日を割り振ることができる仕組みです。繁忙期や閑散期を見据えてあらかじめ取得時期を設定することで、業務の調整がしやすくなり、結果として取得率の向上につながります。
二つ目は、休みやすい職場環境の整備です。「仕事はチームで行うもの」という意識を共有し、特定の人しか対応できない業務を減らすことが重要です。業務マニュアルの整備や情報共有を進めることで、属人化を防ぎ、誰かが休んでも業務が回る体制を構築できます。
あわせて、管理職の姿勢も取得率に大きな影響を与えます。上司自身が休暇を取得していない職場では、部下も遠慮して休みづらくなりがちです。管理職研修による意識づけや、部署ごとの取得状況を可視化する取組みも有効といえるでしょう。
【厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/index.html